• テキストサイズ

一泊二日温泉旅行に行ってみた【実l況l者/全l身l組】

第10章 am 11:47


駅のコインロッカーで荷物を預けると、二人の背中を追いながら目的地を目指す

先を歩くレトさんとキヨくんは私には聞こえないように何か話しているみたいで、時々振り返りながら声を掛けてくれる

今はこの距離感が丁度良い

着くまでに何とか気持ちの整理をしようと思っていたから





「柚月ちゃん、この先やで。」

しばらく自然の景色の中を歩くと、目の前に現れる岩山
岩場を削ってできた石段の先に目当ての場所があるみたいだ

「…洞窟?」

石段の手前にある立看板に目をやると、簡単な地図と案内が載っていて、500メートル程で到着するようだった

「足場悪いから、気を付けて。
きつかったら言ってや?」

「レトさん、人の事心配する余裕あんの?」

「…キヨくん、男の嫉妬はみっともないで?」

「はあ?それレトさんが言う?!」

まあまあ、と制して二人の背中を押す
それでもまだ言い合ってるみたいだけど、どこにいても相変わらずだなぁなんて思ったり
そんな様子に少し気が緩む


寝不足の体には少々きつい階段を登り下りして、
岩が切り立った場所を歩いていく

キヨくんはさすがと言うべきか、
スタスタと進んでいく姿が頼もしい

レトさんはキヨくんに負けじと付いて行ってるけど、
めっちゃ息切れてるよ?

それに気付いたキヨくんがレトさんを笑って、
レトさんもムキになって対抗する

そんな二人の様子が微笑ましくて、つい顔が綻ぶ


そうだ、私は二人がこうしているところが好きなんだ
笑い合って、ふざけ合って、冗談を言って、バカみたいに騒いで

それをいつまでも見ていたいんだ
それを守っていきたいんだ
/ 51ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp