一泊二日温泉旅行に行ってみた【実l況l者/全l身l組】
第4章 pm 2:42
「当館は全室離れとなっております。お部屋には専用の露天風呂がございますが、本館に露天付き大浴場もございます…」
柔らかい物腰で丁寧に説明をする若女将の後ろをついて行く
しばらく歩くと“山茶花”と書かれた客室の前で止まった
「え、何て読むん?さんちゃはな…?」
「ははっレトさん、ほんと漢字読めねーな。これ“さざんか”ね。」
「ちょ、そう言うことは後でこっそり教えてや!」
「はいはい、二人ともいいから、早く入るよー!」
こうやってじゃれ合ってる二人を見るのも悪くないけど、それよりも先に部屋の様子が見たい!
わくわくを抑え切れず、入口の鍵が開くや否や部屋に入る
「わぁぁぁ!!!すっごいっっ!!!」
「わ、マジで、広っ!!」
「ネットで見てたけど、やっぱ実際来て見ると違うなぁ。」
三人それぞれに感嘆の声をあげる
室内は12畳ほどの和室とその横の部屋がセミダブルのベッドが二つ置かれたベッドルーム、庭に露天風呂がある和モダンな造りになっている
ん…ベッドが、、二つ…??
「あ、柚月ちゃん、心配せんでええよ!
寝る時は俺らは和室で布団敷いてもらうから、柚月ちゃんはベッド使ってや?」
ほら仕切れるし、と和室とベッドルームの間の障子を閉めてみせる
「レトさんありがとね、色々気遣ってもらって。」
「と、当然のことやし!
それに柚月ちゃんのこと、大事に…したいから…。」
段々と小さくなっていく声とは対照的に、レトさんの顔がみるみる赤くなっていく
そんな様子を見ていたら、こっちまで恥ずかしくなって頰が熱くなる
「あーあーゴホンっ!
で、メシの時間とかまだ聞いてなかったよな?!」
わざとらしい咳をしたキヨくんが一段と大きな声を出す
そう言えばと思い、若女将の方を見るとニコニコと笑顔を浮かべ、説明をしてくれる
その他、室内の説明など簡単に済ませた後、最後にこう付け足した
「よろしければ、先に大浴場をご利用されてみてはいかがですか?今他のお客様が到着なさっておりませんので、ゆったりとお入りできますよ。」
では、と恭しく頭を下げ部屋を出て行った