一泊二日温泉旅行に行ってみた【実l況l者/全l身l組】
第4章 pm 2:42
「ふわぁぁぁ、気持ちいいーーー。」
誰もいない大浴場の露天風呂に浸かると思わず声が出る
目の前には雄大な山々や自然の景色が一望でき、解放感に包まれる
結局、私たちは散策に行く前に一度温泉に入ることにした
まだ時間もあるし、さっぱりした体で可愛い浴衣に着替えて散策も良いかなってことで
そう、この旅館は色浴衣のサービスをしていて、カラフルで可愛い浴衣を無料で貸し出ししている
そしてその浴衣のまま、周辺を散策することができる
入浴前に二人には内緒で選んだから、きっとビックリするだろうな
温泉から上がると、先ほどレンタルしたばかりの浴衣に袖を通す
水色地に淡いピンクの花模様が入った少し大人っぽい柄
赤いへこ帯を締め、鏡を見ると、お祭りにでも行くような雰囲気になった
少しドキドキしながら、部屋に戻る
レトさんは可愛いって言ってくれそう!
キヨくんは…似合うくらいは言ってくれるかなぁ
「ただいまー!」
入口を開けると二人分の草履が並んでいる
…にしてもやけに静か
不思議に思いながら、和室への襖を開ける
「おー、おかえ…りって…え、何、その浴衣?!」
「え?!レトさん?どうしたの?!」
目の前には畳の上に横になり、おでこには濡らしたタオルを置いて、苦しそうに呻くレトさん
そんなレトさんに携帯片手にヒラヒラとうちわを仰ぐ少し驚き顔のキヨくん
すぐにレトさんの横に駆け寄り、顔を覗き込む
「レトさん、大丈夫?具合悪いの?」
「いや、違…だいじょぶ…。」
「レトさん温泉入ってのぼせただけだから。」
「え、そんな長く入ってたの?」
キヨくんに視線を移すと、きまりが悪そうな顔をしている
「あー…実は、誰もいなかったからさ、泳いだりしてて…どっちが長く潜れるか何回か競争してたら、まぁこんな感じに。」
てへっと擬音付きでごまかそうとするキヨくん
普通に入っててのぼせたのならまだしも…
中学生かっ!!!
「…柚月ちゃん、そんな目で見んといて…。
あ、俺、ここで休んでるから行ってき。」
「え、でも…」
「いいから、いいから。
俺のせいで折角の時間、無駄にできへんし。」
でも一時間で帰って来てや、と付け足し、力なくヘラっと笑う
その後キヨくんに何かこそっと言ってたけど、後ろ髪を引かれる思いで私はキヨくんと散策へ出掛けることにした