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既知ですが、あれから私は諜報員です。

第2章 2人で乾杯


「「乾杯」」


仕事が終わった夜
甘くないお酒が喉を通る


珍しくレンも帰れると言うので
ディナーを食べにきた

lexxがあるこの国では
成人は18歳から
だから、つい最近から
お酒が飲めるようになった


「ティナはどうなの仕事
現場ばかりで疲れないの」


「現場に行く方が性に合うから」


…このセリフ、誰かにも言った気がする

あぁ、そうだ2年前
lexxに初めて行く日の
ネシスさんが運転する車内で…


ネシスさんは今頃どうしているのだろうか


あの後、ネシスさんはイビルを乗せて
どこかへ去っていった

そして、2度と姿を見せなくなった
lexxではなくZI7へ行ってしまった

情報処理班のリーダーが失踪し
当初は大混乱だった
フィルがいつも手伝いに行っていた

能力的にはフィルが
情報処理班リーダーの後任らしいが
クロス総司令官が
フィルは調査偵察班にいるよう指示したらしい


…ネシスさんはルミデウス国民で
国を消滅させたZI7に身を置いている


考えれば考えるほど理解できない
何がしたいんだろう

1人で勝手に思い出して
1人で勝手にイライラする
ひとりでにお酒は進む


「やっぱ疲れてるんでしょ
次は何頼むの」


目の前のレンは優しく笑ってくれる

あの後レンにネシスさんの事を
すぐに知らせた
その時も
情緒不安定な私を守ってくれた

本当に自分の兄みたいだ


「じゃあ、ラモンジンフィスをレンに」


「え?僕に?ラモンジンフィスって…
ああ、そういう事か」


レンはそれだけでわかってしまう
特に説明をすることも無く
レンは私の事をなんでも理解してくれる

もちろん私もレンの事に関しては
1番の理解者だと思っている

こんなに血の繋がった他人は
この世にいないのだから


「じゃあ僕はティナにカミカゼを」


カミカゼ…

ああ、そういう事ね


レンが手早く注文し
席にお酒が運ばれる


私にはレンが選んでくれたカミカゼが

レンにはラモンジンフィスが

2人でグラスを持ち上げ
目を合わせる


「レンに感謝を」


「ティナに僕が救う意思を」



再びお酒が喉を通る
数日間の疲れがお酒と共に流れる気がする
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