《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第6章 名探偵は謎を解かない
その時。
「ゆりちゃん! どうしたの?」
声をかけられて振り向くと、署の前にトド松先輩が立っていた。
「何かあった? 大丈夫?」
トド松先輩が心配そうに駆け寄ってくる。
「先輩! どうしたんですか?」
「もう遅かったから僕も失礼させてもらったんだよ。チョロ松警部とおそ松さんは、親友同士二人で話したいだろうしね」
「そうですか」と答え、視線を戻すと、カラ松さんはすでにいなくなっていた。
「暗くてよく見えなかったけど、一人で何を喋っていたの?」
トド松先輩が不思議そうに尋ねる。
「いえ……。先輩、私一人に見えました?」
「うん。誰かいたの? 僕からは見えなかったけど」
そんな……。
暗いとは言っても、照明のついた警察署の前にいるんだから、見えないはずはない。
私は呟いた。
「じゃあ、やっぱり幽霊……」
「え?」
トド松先輩が聞き返す。
「いえ! 何でもないです!」
「そう。なら、いいけど……」
トド松先輩は心配そうな顔をしていたが、すぐに表情を緩めた。