《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第6章 名探偵は謎を解かない
一松さんは、以前はカラ松さんの洋館で働いていた。
二人が今でも会うのは別におかしくはない。
でも、問題はそこじゃない……。
一松さんは、カラ松さんの話になると思い詰めた表情で黙り込んでいた。
それは……カラ松さんが亡くなったからだ……。
つまり、今、目の前にいるカラ松さんは……。
「カッ、カラ松ガール! と、とりあえず、もう少し、はっ、離れないか……?」
カラ松さんの裏返った声で私は我に返った。
気づけば、私はカラ松さんの胸ぐらを掴んで、まるで脅すかのように自分の体にぴったりと引き寄せていた。
「あっ! ご、ごめんなさいっ!」
慌てて手を離すと、「ま、待つんだっ!」と、肩を掴まれた。
「え?」
「離れてって言ったけど、せ、せっかく会えたから、やっぱり、も、もう少しっ」
「…………」
カラ松さん、こんな少年みたいな声も出るんだ。
真っ赤になっているカラ松さんが可愛らしく思えて、私は言われた通り、離れるのをやめた。
カラ松さんはぴったりとくっつく私を見下ろし、「あー……」と小さく呟くと、サングラスを素早くかけた。
「カラ松さん?」
「そのっ、み、見るなっ……」
「えっ?」
「俺を見ないで……」
サングラスで表情を隠しながらも、耳まで赤く染まり、大量に汗が吹き出ている。
私まで恥ずかしくなってきた。