《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第6章 名探偵は謎を解かない
「俺のことを覚えているなんて、君はなんてジーニアスなレディーなんだっ! 君の健気な恋情を想うと、盗んだバイクで走り出したくなるぜ……。今まで受け止めてやれなくて、すまなかったな、カラ松ガール」
「は……?」
意味が分からず、私は固まった。
「フッ、これぞ宿命、か……。回りだしたぜ、恋の歯車! エデンの園で紡ぎし愛の旋律に祝福された永遠の恋人、フォーエバーラバーズ! 小指に巻かれしレッドな糸で結ば」
「あの、用は何ですか?」
「え」
カラ松さんは一瞬戸惑った表情になったが、すぐに自信に満ちた顔に戻って髪をかきあげた。
品のいい香水の香りが仄かに漂う。
「フッ、感動の再会だというのに、なかなかクールじゃないか、カラ松ガール。照れ隠しかい? そんなに恥ずかしがるほど俺が好きだなんて、なんてキュートガールなんだ」
私は溜息をついた。
疲れきった仕事帰りにこれはキツイ。
「……カラ松さんて恐ろしくポジティブなんですね……」
カラ松さんは胸元からサングラスを取り、つるの先を噛んだ。
「フッ、愛しきカラ松プリンセス。俺は君をずっと探していたんだ。もう一度会いたいと思ってな……」