《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第6章 名探偵は謎を解かない
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まだ仕事が残っているという十四松さんと別れ、警察署の玄関を出る。
外は真っ暗で、生暖かい風が吹いていた。
今日もなんだかんだで遅くなったな。
歩き出そうとすると、突然右腕を強く引っ張られた。
「きゃっ!?」
振り向くと、ツナギ姿の男性が私の腕を掴んでいる。
驚きすぎて、次の声を出せずにいると、男性はフッと笑った。
「やっと会えたな、デスティニー」
聞き覚えのある美声。
首元に光る金色のチェーン。
私は、目の前にいる凛々しい眉の人物を見つめた。
「カラ松さん……?」
男性が目を丸くする。
「俺のことを覚えていたのか? さすがはマイディアプリンセス……」
「もちろん覚えています」
私は答えながら腕を振り払った。
つい最近、洋館の捜査で、いきなり逆さ吊りにされ、睡眠薬を飲まされたうえに、アバラにヒビまで入れられた相手を覚えていないはずがない。
なんだったら、今すぐ公務執行妨害と傷害でしょっぴいてもいいんだけど……。
私の冷めた視線に全く動じず、カラ松さんは目を輝かせた。