《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第6章 名探偵は謎を解かない
「ふふっ、ゆりちゃん、何赤くなってるの? 可愛い〜。これからは、何かあったら僕に頼ってねっ」
可愛くウインクをするトド松先輩に、私は頬を染めながら「はい……」と答えるしかなかった。
コロコロ表情が変わるトド松先輩は、人心掌握術に長けすぎている。
普段はドライなのに、油断した頃にこうやって人の心を掻き乱してくるから、心臓に悪い。
私の反応に満足したのか、トド松先輩は何事もなかったようにまた話を戻した。
「でも、不思議だよね〜。通り魔はいつもカップルを狙うのに、一人でいたゆりちゃんを襲うなんてね」
「そうですね……」
確かに私一人だったのに狙われたのは少し引っ掛かる。
「あと、チェーンソーの音って結構大きいんだよね。静かな夜の公園でそんな音を出したら、目の前の警察署にも聞こえてくるはずだけどな」
「チェーンソー?」
意味が分からず、私は聞き返した。
なんで、いきなりチェーンソーの話が出てくるんだろう?
「仮面の通り魔は、毎回チェーンソーでカップルを襲っているんだよ。幸いみんな軽い怪我で済んでるけどね。……って、昨日は違ったの?」
トド松先輩がきょとんとする。