《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第6章 名探偵は謎を解かない
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「ベンチに座っていたら、入り口から仮面の通り魔が歩いてきたんです」
私が襲われた場所を指し示すと、トド松先輩は振り返って公園の入り口を確認した。
警察署前の公園。
昼過ぎになり、私とトド松先輩は、昨日の通り魔事件の現場検証に来ていた。
普段は親子連れで賑わう公園も、この暑さでは人っ子一人いない。
けたたましい蝉の声が耳に刺さる。
「署の方向から来たのかあ。外に付けてある監視カメラにうつっていないのかな?」
トド松先輩が考え込む。
「さっき十四松さんが確認してくれました。うつっていなかったそうです」
答えると、先輩は怪訝そうな顔をした。
「十四松さんが……?」
「はい。先輩、どうかしました?」
「ゆりちゃん、ちょっと十四松さんに頼りすぎなんじゃないの?」
「えっ? そ、そうですか? でも鑑識さんだし……」
私、そんなに十四松さんに頼っていたかな?
トド松先輩が真剣な顔で見つめてきた。
「ねぇ、僕ってそんなに頼りない?」
「えぇっ!?」
先輩のきれいな瞳に思わずドキッとする。
「何でそうなるんですか? 全然そんなことないです!」
「なら、いいけど……。僕、もっとゆりちゃんの力になりたいって思ってるんだよ?」
きゅるんとした上目遣いで見つめられ、かあっと耳が熱くなった。