《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第6章 名探偵は謎を解かない
チョロ松警部の姿が見えなくなると、トド松先輩が死んだような目をして呟く。
「きっつ……。何が悲しくて上司の首のキスマークなんか、朝っぱらから見せつけられなきゃなんないわけ? 相手は同じ署の人かな……」
私はすぐにトト子さんを思い浮かべた。
昨日の夜、忘れ物を取りに行ったら、チョロ松警部はトト子さんにお仕置き(?)をされていた。
きっと、二人はあの後……。
「ゆりちゃんは、警部の相手が誰なのか知ってる?」
「うぇっ!?」
トド松先輩に急に聞かれて、私は飛び上がった。
「え、ええと、知らないです……。だっ、誰でしょうね……? あは! あははは……」
「何、そのベタな笑い方。本当に知らないの?」
「ほっ、本当に知らないです!」
「大体、チョロ松警部って童貞だと思ってたのになぁ」
トド松先輩がはあっと息を吐いた。
「先輩?」
「あー! なんっか、おもしろくないっ! よし! こうなったら絶対に相手を探し出してやる……!」
「えぇっ!?」
「誰なのか分かったら、署内にメッセで一斉送信! 誹謗中傷をSNSにも書き殴ってやる!」
トド松先輩が決意に満ちた表情でスマホを握り締めた。
「ゆりちゃんも分かったらすぐに教えてね!」
「は、はい……」
知らないふりをしておいた方が良さそう……。
私はそっと自分の席に着いた。