《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第6章 名探偵は謎を解かない
「警部、今日は随分遅めのご出勤ですけど、どうなさったんですか? 珍しいですね」
トド松先輩が不思議そうに尋ねる。
確かに几帳面なチョロ松警部は、遅刻なんて滅多にしない。
「ん? ああ、ちょっとね」
警部は、書類に目を落としたまま答えた。
トド松先輩がアヒル口をニヤリとさせる。
「あ〜! 警部、もしかして昨日の夜はお楽しみだったりしてぇ?」
「っ!」
瞬間、チョロ松警部は、自身のうなじをバッと手で隠した。
「えっ……?」
トド松先輩も私もポカンとする。
「これはその……違うっ! 向こうがいきなり……じゃなくて、いや、えっと……」
チョロ松警部が、うなじを押さえながら裏返った声でどもる。
顔が真っ赤だ。
「「…………」」
あーそういうこと……。
私もトド松先輩も事情を察し、黙り込んだ。
気まずい空気が流れる。
「えーあーえっと、あっ、総務に呼ばれてたんだった! あーそうそう!」
チョロ松警部は甲高い声で言いながら、バタバタと部屋を出て行ってしまった。
残された私たちは呆然と警部の背中を見送った。