《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第28章 エピローグ(ノーマルEND)
この二十年のあいだに赤塚の街はだいぶ変わった。
来年執りおこなわれるマツリンピックの開催都市にも指定され、急激な発展を遂げたこの街。
中心は高層ビルが立ち並ぶいっぽう、郊外には緑があふれ、昔懐かしい商店街も賑わいを取り戻している。
わざわざこの街を指定して移住してくるファミリーも多い。
もちろん、警察の地道な努力により、犯罪も格段に減った。
「それでもまだ足りない……」
ぽつんと呟くゆり。
犯罪が減ってもゼロにはならない。
そして、警察組織にはまだ膿がある。
この組織を内部から解体し、抜本的な改革をするためには自分がトップに立つしかない。
彼女は来年から警察庁に入庁することが決まっていた。
目標はまだ先にある。
「それじゃあ、小娘はここで作業を好きなだけ見ていくといいザンス! いくら見たところで松汁しか作ってないザンスからね!」
イヤミ所長はそう言い残すと、作業員たちの監視に戻った。
流れるベルトコンベアの前でただひたすら作業に没頭する工員たち。
イヤミ所長が声をかける。
「さぁ〜チミたち! もっともっと働くザンスよ! おまえたちもようやく立派な大人になってきたザンス。あっそれ! 大人にな〜れ! 大人にな〜れ! 大人にな〜れ! 大人にな〜れ!」
ゆりは呆れたように呟いた。
「二十年経っても、この工場だけはほんっっと変わらないんだから……」
ベルトコンベアは流れ続ける。
赤塚の街は今日も平和である――。
―END―