《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第28章 エピローグ(ノーマルEND)
「う……ほ、本当にしてないザンスよ! うちの工場は今は松汁の生産が主力ザンス! 値段が高すぎてさっぱり売れないザンスが。疑うなら製造ラインを見てチョーよ!」
イヤミ所長はサンプル品を署長に渡した。
たしかにパッケージには『松汁』と書かれている。
「むぅ。わかりました。今回は信じましょう」
「よかったザンス……」
イヤミ所長はホッと胸を撫でおろした。
「ただし、もし隠していたら容赦しませんよ? あ、それかイヤミさんならどうせそのうち法を犯すでしょうから、もう先に逮捕しておきましょうか?」
「シェーーッ!? 無茶苦茶ザンス! これだから、この『小娘』は!」
「え? 今、何か言いました?」
赤塚署署長がイヤミ所長を睨む。
「な、なんでもないザンス! 相変わらずおキレイだと言っただけザンス! ま、チビなのは昔から変わらないザンスけどね」
女性署長は眉をひそめた。
「それはこっちのセリフですよ。ほんっっと昔から変わらない出っ歯なんだから!」
二人は顔を見合わせ、こらえきれずに笑い出した。
二十年前の事件――デカパン所長殺人事件、仮面の通り魔事件。
この事件以来、不正はなくなったものの、警察署とブラック工場のゆる〜い付き合いは続いている。
「初めて捜査に来たときは、まだあんなにひよっこだったのに、時が経つのは早いザンスね」
「ええ。でも、どれだけ時が経っても、違法なことをしたら摘発はしっかりしますからね?」
赤塚署署長・橋本ゆり警視正は、製造室を見渡した。