《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)
「先輩、まだ玄関……」
「だって、もうっ……」
ぎゅうっと抱きしめられ、キスをする。
部屋の電話が鳴っているのが聞こえ、私たちは唇を離した。
「早く入りましょ?」
笑いながら離れると、先輩も「そうだね」と恥ずかしそうに笑う。
わざわざホテルに来て、玄関で済ませるなんてもったいない。
部屋に入って電話を取ると、『割引クーポンは持っていますか?』と訊かれた。
持っていないと答えていると、うしろから抱きしめられる。
「ゆりちゃんっ」
耳元で囁かれ、くすぐったさに思わず首をすくめた。
「先輩、今はだめですってば」
受話器を手で覆ってから振り向くと、先輩はいたずらっ子のような笑みを浮かべている。
もうっ、こういうところは死んでも変わってないんだから。
また電話に戻ると、『フリードリンクの注文はどうされますか?』と尋ねられる。
ベッドの脇にあったメニュー表を取ると、また先輩がちょっかいを出してきた。
「ふふっ、僕もう我慢できなーい!」
小さな声で囁いて、頬ずりをしてくる。
「だから! 先輩、くすぐったいですってば」
笑いながら避けると、
「え〜! じゃあ、もっとする!」
トド松先輩は鼻を押し付け、すりすりと私の頬を愛撫した。
「もうっ……」
目が合って、自然と笑い合う。
二人のあいだに流れる親密な暖かい空気。
『まだ決まりませんか?』
受話器から女性の困ったような声が聞こえてきた。
「すみません! オレンジジュースをふたつで!」
慌てて注文をして電話を切ると、すぐにベッドに押し倒される。