《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)
「いいですよ……」
先輩の手をそっとどけて囁く。
今日はもう外回りも終わって、急ぎの仕事はない。
事件が起きるかもしれないけど、とりあえずはチョロ松警部が捜査一課にいてくれる。
「え!? いいって……本当に!?」
「はい」
ちらりとすぐ目の前の赤塚署を見る。
チョロ松警部、今日だけ許してください。
私はポケットからスマホを取り出すと、電源を落とした。
「先輩、どこに行きますか?」
スマホを鞄にしまう。
「え!? え!? え!? 本当にいいの!?」
「早く行き先を決めないと、気が変わるかも……」
「っ! わ、わかった! たしかすぐ近くにラブホがあったから! 着くまで気を変えないでね!」
トド松先輩は私の手を掴むと走り出した。
私も一緒に走る。
公園を出て、署の前を通り過ぎた。
まだ明るいのにラブホに向かって走るなんて、私たちってば変なの。
でも、私もトド松先輩と同じ気持ち。
もう今まで充分待ったから。
これ以上は一分でも待ちたくない。
「ゆりちゃん、あのホテル! いいよね!?」
目の前に現れた洒落たホテルに、手を繋いだまま飛び込む。
トド松先輩はろくにパネルを見ずに部屋を選び、エレベーターに飛び乗った。
「トド松先輩ってば、いくらなんでも慌てすぎですよ」
上昇するエレベーターの中でくすくす笑うと、先輩は大真面目な顔で階数表示を睨んだ。
「だって、ゆりちゃんの気が変わったら困るから!」
エレベーターが止まった瞬間、転がるようにエレベーターを降りる。
部屋に入ると、靴を脱ぐ前に抱きしめられた。