《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)
「先輩、これからどうするんですか?」
「どうしようね……。デカパン所長は助かった。でも、あれだけニュースになったんだ。たとえ罪に問われなくても、僕がやったことは責められ続けるだろうね。戸籍だってもうない」
「…………」
「ゆりちゃんは戸籍のない僕はイヤ?」
「っ! そんなことないです!」
どうでもいい。
小さなことだ。
トド松先輩がいる。
それだけが今の私には大切なことだから。
先輩は可愛らしくウインクをした。
「ねぇ、ゆりちゃん。前に話したこと覚えてる? 警察をやめて、僕の地元で二人でのんびりとカフェでも開かないって誘ったこと」
「覚えてます……」
たしかチョロ松警部が逮捕されたあと、捜査一課でそんな話をしたんだっけ。
「でも僕の地元っていうのはここなんだよね。赤塚の町」
私は頷いた。
「もしかして、洋館に戻るんですか?」
「いや、洋館に戻ったところでカラ松兄さんに迷惑をかけるだけだ。ここにはもう僕の居場所はないよ」
「じゃあ、どうするんですか?」
トド松先輩はそっと私の頬を撫でた。
「これはあくまで提案なんだけど……。ゆりちゃん、僕と一緒にここを出ない?」
ここを出る?
赤塚を?
「どこへ行くんですか?」
「もっと遠いところ。誰も僕たちのことを知らない場所。いや、正確には一人だけ知っている人がいるかな」
もっと遠いところ……。
私は先輩を見た。