《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)
「先輩、どうやって……」
「どうやってだろうね? 僕もびっくりしたよ。気づいたら自分の墓の前に立っていたんだ」
顔を上げて改めて見つめる。
目の前で微笑む愛する人の顔。
正真正銘、トド松先輩だ。
「本当に生き返ったんですよね……?」
「そうだよ。それとも幽霊だと思う?」
「まさか。幽霊なんて信じてないから……」
トド松先輩がくすくす笑った。
「そう? 洋館の幽霊は信じていたように見えたけど?」
「それはっ……」
トド松先輩が信じさせたくせに。
先輩はふふっと笑いながら、優しく私の髪を梳いた。
「デカパン所長は僕のために開発してくれたんだよ。命同士を交換しなくても生き返られる薬をねっ。もう少しグレードダウンしたものとでも交換できるように改良してくれたんだ」
「グレードダウンしたもの?」
「命の次に大切にしてるものとでも交換できるようになったんだよ」
「命の次に大切なもの……?」
つまり、トド松先輩の命とデカパン所長の大切なものを交換したってこと?
私は考え込んだ。
「デカパン所長の『命の次に大切なもの』ってなんでしょう?」
トド松先輩がそっと耳元で囁く。
「さっきデカパン所長に会ったでしょ? 一年前よりさらに髪が薄くなってなかった?」
「っ!!」
じゃあ、デカパン所長はトド松先輩の命と――。
「髪の毛を交換したってことですか!?」
「そういうことっ。申し訳なかったけどねっ」
「はぁ……」
私は目を瞬かせた。
髪の毛と命を交換できるなんてすごい時代になったものだ。デカパン所長にとって、残り少ない髪の毛はそれくらい大事だったんだろうけど。