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《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)

第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)


デカパン所長は踵を返し、また歩き出した。

「デカパン所長……」

耳に当てたスマホから、先輩の声。
『ゆりちゃん、公園に来れるかな?』

「公園?」

『赤塚公園。署の真ん前にあるあの公園だよ』

「行きます! すぐ行きますから動かないで!」

『アハハ、大丈夫大丈夫。慌てなくていいよ。ずっといるから』

私は走り出した。

もう二度と会えないって何度も何度も自分に言い聞かせてきた。

でも無理だった。
諦めきれなかった。

トド松先輩に会える。
やっと会える。


「トド松先輩!」

赤塚公園はすぐだった。
勢いよく飛び込み、園の中を見回す。

小さな公園はひっそりとして誰もいない。

いや、一人いた。
ベンチに座っている。

「先輩!」

ベンチから立ち上がる男性。

見覚えのあるグレーのスーツ。
ピンクのネクタイ。
ぴょこんと跳ねた前髪。

「ゆりちゃん!」

私が駆け寄るのと、先輩が走ってくるのはほぼ同時だった。

「トド松先輩……!」
先輩の腕に勢いよく飛び込む。

抱き締めるよりも先に、抱き締められた。

懐かしい甘い香り。
温かい身体。

「ゆりちゃん……!」

大好きな声。

それ以上、何も言えなかった。
言う必要もなかった。

ぎゅうっと先輩にしがみつく。
私たちは強く強く抱き締めあった。


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