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《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)

第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)


「すみません、私、その……急用が……」
そろそろと後ずさる。

おや、と上田課長が声を漏らした。
隣の彼も目を丸くする。

「橋本くん? 急に何を言ってるんだ?」

「あの……トド松先輩が……す、すみません! 今日は失礼します!!」

鞄を持って走り出す。

「おい! 橋本くん!?」
うしろからあつしさんの声が聞こえたが、振り向く勇気さえなかった。

ロビーに出て、そのままホテルの外へ飛び出す。

「きゃっ!?」

勢いよく走り出たせいで、ホテルの前に立っていた人にぶつかってしまった。

「大丈夫ダスか?」
聞き覚えのある声。

尻もちをついた私は目の前の人物を見上げた。

「デカパン所長?」

上半身は裸で大きなパンツを履いた中年男性。デカパン所長が私を見下ろしていた。

まさかこんなところで会うなんて……。

「久しぶりダス。あのときは世話になったダス」
手を取り、立ち上がらせてくれる。

「いえ、そんな。もうお体は大丈夫なんですか?」

「なんの問題もないダス!」

「そうですか」

デカパン所長を保護したとき、話を聞いたり入院の手配をしたのは私とチョロ松警部だ。

どうしてこんなことになったのか、事件の内容もひと通りデカパン所長には説明した。
自分がなぜ殺されたのかを聞くのは苦痛だったに違いない。

でも、デカパン所長はときおり質問を挟みながら熱心に私たちの話を聞いてくれた。
トド松先輩の話になると恨みを言うどころか、『かわいそうに』『気の毒ダス』と繰り返した。


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