《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)
「デカパン所長の発明が残っていないかと思って、ここに来て調べてたんだ。でも、特に情報がなくてね……」
トド松先輩は悔しそうに展示棚を眺めた。
デカパン所長の情報……。
私はふとジャケットのポケットを探った。
クシャクシャになったメモに指が触れる。
『デカパン所長について、詳しく知る必要が出てきたらここに連絡をくれればいい』
もしかして、悪松記者なら分かるかもしれない。
「先輩、守衛さんに『鍵が見つかった』と言って両方の鍵を返してきてください。悪松さんに会いにいきましょう! すぐに電話します!」
こうして私たちは悪松記者と出版社で待ち合わせをしたのだ――。
車はビジネス街に入った。
ビルが立ちならび、まだ交通量も多い。
「トド松くん、できるだけ屈むんだ。ここで見つかったら終わりだぞ」
チョロ松警部がトレンチコートを脱いで、隠すようにトド松先輩にかけた。
「警部、あそこです。赤塚出版社」
大通りに面した高いビル。
赤塚出版社の窓に電気はついていない。
私たちは少し離れた場所に車を停めると、あたりを警戒しながら出版社の前まで歩いた。
「よく来たな……」
ビルのドアが小さく開き、悪松さんが顔を出す。
私たちが来るのを見ていたようだ。
「今、このビルには俺しかいない。早く入るんだ」
促されるままに私たちは出版社の中へと入った。