《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)
「立派な建物ですね。出版物は最近は売れないと聞いていますけど……」
チョロ松警部が広いフロアを見回す。
ガラス張りの洒落たデザイン、絨毯が敷き詰められ、ゆったりとしたソファが置かれた休憩コーナーまである。
たしかに建物を見るかぎりは、景気がよさそうだ。
奥にはパーテーションで区切られたデスクが並んでいた。
たぶんここが仕事場だろう。
「いや、出版業界はどこも厳しい。うちの雑誌はホエホエ動画やシェーチューブ、最近はAka Tukのような人気アプリとクソな連動企画をおこなったりすることで、なんとか生き残っているがな……」
悪松さんについて、応接室に入る。
部屋の電気がつけられ、私たちはようやく少し緊張の糸を解いた。
「この部屋は明かりがついていても外からは見えない。とりあえず座れ……」
悪松さんに促され、私たちはソファに腰を下ろした。
「……で、俺の言ったとおりになっただろう? おまえは正義を曲げてでも、俺のところに話を聞きに来た。クソだからな」
悪松さんはじっと私を見る。
「…………」
なんと答えていいのか迷っていると、トド松先輩が先に口を開いた。
「悪松さん、デカパン所長の研究所が取り壊されたあと、発明品や研究はどうなったんでしょう?」
悪松さんは愉快そうに目を細めた。
「おまえがデカパン所長を殺したヤツか。いかにもクソな顔をしていやがる……。後悔しているのか?」