《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第5章 女王様への黄色い嫉妬(※十四松)
「あのね、ゆりちゃん」
十四松さんが、照れ臭そうに声を出した。
「うん?」
「ゆりちゃん、研修で僕らの署に来た時あったでしょ?」
「うん」
「ゆりちゃんが一生懸命やってるのを見て、僕、ずっと応援してたんだよ?」
十四松さんの言葉に私はきょとんとした。
「え? でも、私一人だけ出来が悪かったのに……。鑑識課の研修でも証拠品を落として壊してしまったし……」
「ゆりちゃんは最後まで頑張ってたよ! ゆりちゃんが僕たちの署に配属になるといいなーと思ってたんだあ。だから、今、一緒に現場で仕事できるようになって本当に嬉しいっす!」
嬉しい、というのはお世辞じゃなくて心からそう思ってくれているんだろう。
私の配属が赤塚署に決まった時、十四松さんは目を輝かせて喜んでくれたんだっけ。
「僕のこと別に好きにならなくていいよ! 一緒に仕事できるだけで嬉しいから! いつか好きになってくれたらもっと嬉しいけどね!」
そこまで一気に言うと、十四松さんは私の頭を優しく撫でた。
好きにならなくてもいいよ、なんて本気で言ってるの?
気を遣ってくれているのかな。
温かくて大きな手。
なんだかとても安心する。
十四松さんに撫でてもらうと、まるで自分が小さな子供に戻ったような気がした。