《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第5章 女王様への黄色い嫉妬(※十四松)
恋とか、愛とか、男女の仲とか……純粋で天使みたいな十四松さんは、そういうのとは無縁な人だと思っていた。
でも、今、目の前にいる十四松さんは男の顔をしてうっとりと私の唇を撫でている。
そっか、私は今まで気づいていなかった。
十四松さんだって、一人の成人した男性なんだ……。
ぐいっと肩を引かれ、十四松さんの顔がすぐ側に来た。
唇から指が名残惜しそうに離れ、代わりに十四松さんの唇がすうっと引き寄せられるように近づいてくる。
心臓が壊れそうなぐらい鼓動が大きく弾んだ。
温かい息が顔にかかり、十四松さんの唇が私の唇に重なりそうになる。
だめ、キスしてしまう……。
十四松さんがそっと目を閉じた。
私も思わず身を硬くする。
あ、もう、触れ……
瞬間、けたたましいクラクションが耳をつんざいた。
「っ!」
私たちは我に返って同時に体を離す。
「ご、ごめん!」
「ううん……私も……」
クラクションを鳴らした主なのか、公園の外を1台の車が通り過ぎていった。
自分の心臓の音がうるさい……。