《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)
「覚悟って大げさなんだから! 上のご機嫌は取らないとね。うまく立ち回らないと、出世なんてできないよ〜?」
「…………」
「ゆりちゃん……? どうしたの?」
黙り込んだ私を不思議そうに見つめる先輩。
変わらない……。
本当にあの日洋館で捕まった犯人?
今、目の前にいるのはチームで一緒に仕事をしていた頃のトド松先輩だ。
「本当にトド松先輩だなと思って……」
「ふふっ、そうだよ。幽霊でもないし、本物だよ。デカパンさんを殺して一松と君を殺そうとしたト・ド・松」
きゅるんと可愛く微笑む先輩。
「…………」
「もうっ、そんな顔しないでよ。大丈夫、今は物騒なことは考えていないよ。一松にも本当に申し訳ないことをしたって反省してる。今は憎しみなんてない。感謝してるよ、あいつには」
「先輩……」
私はじっと彼を見つめた。
「ん? どうしたの? 僕の顔に何かついてる?」
「っ……」
色々言いたいことがありすぎて、何から話せばいいのか分からない。
先輩は私の頭を静かに撫でた。
「ごめんね、ゆりちゃん。本当にごめん……」
「先輩、私……」
「うん、僕が全部悪い。軽蔑してくれていいよ」
私は首を振った。
先輩の気持ちは手記を読んだから分かっている。
たくさん苦しんだでしょ?
辛かったでしょ?
私は何もしてあげられない。
それがもどかしい。