《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)
「トド松先輩……?」
人の気配がない。
エントランスには、受付のカウンターと掲示板が置いてあるだけ。
展示室はいくつかあるようだ。
手前の展示室を覗いてみる。
真っ暗で何も見えない。
その隣の展示室を見てみるが、やはり真っ暗。
「…………」
静かな空間に私の足音が響く。
もし、トド松先輩がいるなら聞こえているに違いない。
今度は反対側の展示室を覗く。
小さな明かりがついていた。
「トド松先輩……」
たぶんここだ。
私は展示室に恐る恐る足を踏み入れた。
ぼんやりと浮かび上がる展示ケース。
ここは地域に貢献をしている区民を紹介するコーナーのようだ。
『昆虫についての研究を独自に重ね、赤塚区の小中学校で昆虫教室を毎年無償で行っている高橋氏』
『赤塚図書館に100万冊の本を寄贈。フラッグ・コーポレーション代表取締役ハタ坊氏』
『野良猫を捕獲し、避妊去勢手術を実施。地域猫として見守るボランティア活動を続ける団体、エスパーにゃんこズ』
個人もあれば会社もあり、ボランティア団体などもある。
私は展示ケースを見ながら、ゆっくりと部屋の真ん中に向かった。
『様々な発明を行い、区民たちの相談に乗る。デカパン研究所所長デカパン氏』
足が止まった。
「デカパン研究所?」
デカパンって、ブラック工場所長の?
同姓同名の別人?
私は思わず覗き込んだ。