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《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)

第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)


「じゃあ、俺は早速駐車場に行ってくるよ。あんたも終わったらもう一回声かけてな」
守衛が立ち上がる。

「はい。必ず」

思い出した……。
この声……聞いたことがあるどころじゃない。
すごく覚えがある。

もしかして……。
いや、でも……。
まさか……。

だって私が今、頭に思い浮かべている人は警察手帳を持っているはずがない。

守衛の男が部屋を出ていく音。

あとに残された警察官がぽつんと呟いた。

「まったく……ゆりちゃんは本当に世話が焼けるんだからっ」

「っ!!」

ガツンと頭を殴られた気がした。
視界がぐらりと揺れる。

「トド松先輩!」

転びそうになりながら飛び出す。


部屋には誰もいなかった。

テーブルの下に視線がいく。
残っているのは、『1』の鍵だけ。

「先輩! 先輩っっ!」
守衛室の外に出る。

トド松先輩の姿はなく、ライトが静かに建物を照らしているだけだった。

今の……トド松先輩だった……。
聞き間違いなんかじゃない。

先輩はなぜか私が隠れていることを知っていた。
助けてくれたんだ。

手に握ったままだった『2』の鍵を眺める。

先輩は『3』の鍵を持っていった。
建物の中に入ったに違いない。

しかも、私が持っている鍵を探しますと守衛に言っていた。

「先輩……探さなくても私から行きます……」

資料館へと歩みを進め、ドアに再び手をかける。
私は静かに鍵を挿した。

回すとカチリと小さな音。

ドアを開けると、真っ暗なエントランスが広がっていた。


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