《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)
***
数日ぶりの洋館。
相変わらず夜は不気味な佇まいだ。
ただ、今は窓から光が漏れ、主が館に帰ってきたことを告げている。
新たに取り付けられたインターホンを押すと、老執事が顔を出した。
「おや……チョロ松様、橋本様、どうなさいました?」
カラ松さんが洋館に再び住むようになってから、戻ってきた従業員の一人だ。
「夜分にすみません。カラ松さんはご在宅ですか?」
チョロ松警部の問いかけに執事は優しく頷いた。
「ええ、おりますよ。お待ちください」
ホールに通されソファに座ると、すぐにカラ松さんが階段を下りてきた。
「警部にゆりちゃんじゃないか。こんな時間にどうしたんだ?」
ガウンを羽織ったカラ松さんは、すっかり洋館の主の風格だ。
「カラ松さん、どうも。単刀直入に伺いますが、トド松くんは来ていませんか?」
チョロ松警部が立ち上がる。
私も立ち上がった。
「トド松が?」
不思議そうに首を傾げるカラ松さん。
「来てないようですね。実はトド松くんが脱走したんですよ」
「脱走!?」
「てっきりここに来ているかと思ったんですが……。何かトド松くんから連絡は来ていませんか?」
カラ松さんは首を振った。
「いや、何も。まさか脱走だなんて……なぜ……」