《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)
あつしさんが目を丸くする。
「へぇ……どっちが先に捕まえるか競争しようって言うの? この僕と張り合うってことかい?」
「まさか! 張り合うなんてとんでもない! 警察の捜査に競争も何もありませんよ。僕もあつし理事官もトド松くんの確保を望んでいる。全力を尽くしてあなた方の指揮に従って捜査するだけです」
言葉の裏を探るかのように、あつしさんはチョロ松警部を見つめた。
警部も負けじと見つめ返す。
続く沈黙。
やがて、あつしさんがふっと笑った。
「なるほどね……。本音は他にありそうだ。でも、捕まえていいなら容赦はしないよ。まあ、何かあるなら先回りすることだ。応援してるよ」
あつしさんは踵を返すと、部屋を出ていった。
「警部、あつしさんにお願いしたほうがよかったんじゃないですか?」
私は警部を見上げる。
「何をお願いするんだ? 理由もないのにトド松くんを捕まえないでくれとでも言うのかい?」
警部が優しく微笑んだ。
「でも、このままじゃトド松先輩が捕まってしまいます!」
「ああ、だからこそ僕たちで先に見つけるんだ。あつしさんもそう言った。行くぞ、ゆりくん」
警部が歩き出す。
あつしさんは数日中に捕まえると言った。
彼が言うなら本当だろう。
時間がない。
洋館にトド松先輩がいればいいけど、もしいなかったら?
他に思い当たる場所はある?
そこで行き詰まってしまうかもしれない。
私は不安な気持ちを抱きながら、警部の後を追いかけた。