第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)

『まあ部下が殺人犯というだけでもお察しだ。まったく迷惑ばかりかけてくれるよ、チョロ松くんは』

チョロ松警部は特に気にする様子もなく、黙って聞いている。

「警部っ！　いいんですか！？　あんなこと言わせておいて！」

「いいんだ。放っておけばいい」　　

「でも……」

「ここで喧嘩になっても損はすれど一つも得しない。ゆりくんも分かるだろう？」　

確かにそうかもしれないけど……。


警部をイジって気が済んだのか、幹部の男性はまた捜査方針に話を戻した。

『それでは今後、重点的に捜査するのは……』

警部が私を見る。
「ゆりくん、トド松くんは何か理由があって逃げたのかもしれない。僕も一度逃げているから分かる。他の捜査員に捕まる前に僕たちで見つけよう」

「でも、どうやって？」

「トド松くんが行きそうな場所に心当たりはないか？」

心当たり……。

トド松先輩とは、プライベートの付き合いがほぼなかった。
たった一度だけ、食事に行って部屋に泊めた。　
それだけだ。

先輩の行きそうな場所なんて思いつかない。

「分からないです。洋館ぐらいしか……」

チョロ松警部が目を見開く。
「洋館か。カラ松さんのところに戻っている可能性はあるかもしれない。よし、行こう、ゆりくん」