《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)
脱走? 先輩が?
「脱走なんて……本当ですか?」
『ああ。とにかく来れるなら署に来てくれ』
「分かりました。というか、目の前の公園にいるのですぐ行けます」
『公園? なぜ?』
「まあ、ちょっと……」
署に戻ると、一度帰ったはずの捜査員たちも集まり、緊急会議が開かれていた。
会議室を覗くと、本庁から来た幹部の中年男性がマイクで捜査方針を話している。
幹部は何人か来ているようだ。
私は静かに部屋に入った。
「チョロ松警部」
一番後ろに座っていた警部に小声で話しかける。
彼は隣に座るように椅子を指差した。
「警部、一体どうなってるんですか?」
座りながら尋ねてみる。
警部が首を振った。
「こっちが聞きたいぐらいだよ。トド松くんが脱走した。それしか分かっていない。どうやって逃げたのかも分からない」
「そうなんですか……」
マイクで喋っていた幹部の男性がこちらを見た。
『それにしてもチョロ松くんの元部下だけあって脱走が上手いようですな。上司が脱走の名人なんだから仕方がない』
他の幹部の間から乾いた笑いが起こる。
この間、わざと捕まっていた警部が脱走したことを言っているのだ。
「そんな言い方っ……!」
私が立ち上がろうとすると、警部が腕を掴んで引き止めた。
黙って首を振る警部。
大人しくしていなさい、の意だ。