《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第26章 十四松END〜鑑識さんとわたし〜(※)
「すみません……」
「ま、いいけど。トト子、轢き逃げ犯は許せないのよね。交通事故で亡くなる人を減らしたくて毎日頑張ってるのに、ほんっとこういうヤツはイライラする! だから、自分で来ちゃった」
トト子さん……。
彼女の真っ直ぐな瞳にジンとする。
「そんなに交通安全のことをちゃんと考えているなんて……。交通安全教室も人気のためにやっていたわけじゃなかったんですね……」
「あら、それは違うわよー! 人気のために決まってるでしょ! トト子はみんなにチヤホヤされたいのー! 庶民とは違う、ワンランク上のアイドル警察官だって思われたいのー!」
目を輝かせて、アハハーッと笑うトト子さん。
「そ、そうなんですか……?」
どっちが本心なのかよく分からない。
男を輸送車に連れて行ったチョロ松警部が戻ってきた。
「トト子ちゃんは、口ではああ言っているけど、本当に交通安全を真剣に考えているんだよ、ゆりくん」
そっと耳打ちされる。
「はい……」
私は頷いた。
信念が強くて、仕事に真剣で、でも我儘で男たちを手玉に取っていて……トト子さんはやっぱり一筋縄ではいかない。
「ゆりくん、すまなかった。君たちを危険に晒してしまって……」
チョロ松警部は下がり眉を一層下げる。
「いえ、私こそ、ちゃんと警部のお話を聞いていれば……」
悪いのは完全に私だ。
「ゆりくん、あとはやっておく。十四松さんのところに行ったらどうかな?」