《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第26章 十四松END〜鑑識さんとわたし〜(※)
「十四松さん!」
駆け寄ろうとすると、男が腕を上げるのが見えた。
銃口が向けられる。
「来るな! お前も死にたいのか!?」
嘘……。
なんで? なんで?
拳銃を所持している可能性なんて、捜査情報にはなかったのに!
十四松さんの身体がみるみる血に染まっていく。
出血が多い。
早く止血しないとまずい。
「手当を……させて……」
「だめだ! 頭の後ろで手を組め!」
拳銃は腰にある。
取る隙は……ない……。
震えながら手を組む。
どうしよう、十四松さんが死んじゃう。
さっきまで普通に喋っていたのに。
本当に死んじゃうの?
十四松さんはピクリとも動かない。
嫌! 絶対に嫌!
十四松さんのいない世界なんて……。
チョロ松警部が電話口で叫んでいたのを思い出した。
もしかして、あの時、警部は銃のことを伝えようとしていた?
私がちゃんと警部の言葉を聞かなかったから?
私のせいで十四松さんは……。
「こんなことしても無駄って分かるでしょ? 私や彼を殺したところで日本には無数の警察官がいる。すぐに捕まるし、殺人の容疑が増えるだけ」
「ああ、逆に考えれば、どうせ捕まって死刑になるなら、何人殺しても同じってことだ……」
「っ……」
十四松さん、助けられなくてごめんなさい……。
男が真っ直ぐに銃を構える。
目を瞑った瞬間、銃声が空気を斬り裂いた。