《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第26章 十四松END〜鑑識さんとわたし〜(※)
「いまさらかもしれないけど、十四松さんと離れたくないです……」
十四松さんが猫目になって、制服の袖を口に当てた。
「僕のこと、好きって意味……?」
「自分でも分からないけど、ただ十四松さんと一緒にいたいというか……お別れしたくないです……」
曖昧だけど、正直な気持ちだ。
「ゆりちゃん……それは……」
瞬間、スマホが鳴った。
私たちは顔を見合わせる。
そういえば、チョロ松警部に連絡をお願いしていたんだった。
「はい、橋本です」
慌てて出ると、目の前の十四松さんがごくりと喉を鳴らす。
『ゆりくんか。チョロ松だ。聞き込みは終わったよ。事件当日に怪しい男を見たという職員が複数いてね。どうも外部の人間が職員専用エリアにいたようなんだ』
「その人が犯人ですか?」
『ああ、たぶんな。20代くらいの茶髪の若い男。格好は私服だったそうだ。車の目撃情報もある。職員専用の駐車場にトラックが停められていた。注意されてすぐにいなくなったらしいが、利用客用の駐車場でも目撃されているから、そっちに移動したんだろう』
20代の男? トラック?
十四松さんが頷く。
そういうことか……。
ようやく十四松さんの言っていた意味が分かった。
「つまり、男は図書館で殺しをした後、逃走する時に急いでいたため、轢き逃げをしてしまった……」
図書館の司書殺人事件、赤塚交差点の轢き逃げ事件。
犯人は同一人物……。