《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第26章 十四松END〜鑑識さんとわたし〜(※)
「車を見て」
小さな声で囁く十四松さん。
家の車庫には、トラックが停まっていた。
「トラック……? 例の轢き逃げの車種ですか? でも、見たところ、ぶつかったような跡もないしキレイですよ?」
「キレイだから、怪しいんだよー。この住宅街の車は全部チェックしたんだよ? トラックは一台もなかったはず。なのに今日はキレイになったトラックが停まっている」
「キレイに『なった』?」
十四松さんがにっこりと笑う。
「だって、バンパー部分だけ不自然にキレイすぎない? ボディの部分は、そこそこ使い込まれている感じなのに」
言われてみれば……。
確かにバンパーだけ新品みたいだ。
「修理に出していた、または取り替えたってことでしょうか?」
「たぶんね。少なくとも僕らが捜査したときにこのトラックはここにはなかった」
「じゃあ、その間にバンパーを修理していたかもしれないですね」
本当にこの家の住人が轢き逃げと関係していたら……。
十四松さんは車庫を覗くのをやめると、家の玄関の前に立った。
「ゆりちゃん、聞き込みはこの家からやってもいいかな?」
「分かりました」
少し緊張した面持ちで彼はインターホンを鳴らした。