《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第26章 十四松END〜鑑識さんとわたし〜(※)
「ゆりちゃん、なんて顔してるのー! そんなに心配しないでよ! 僕、警視庁に行ってもちゃんとやれるよー?」
別にそこは心配していないけど……。
「いえ、十四松さんがいなくなると淋しいだけで……」
「淋しい? ほんとにー? すっげー嬉しい! 僕とキスしたから?」
「えっ……ち、違っ……」
ドキッとする。
「アハハー! ウソウソ! 冗談っス。さっきのは我慢できなかった僕が悪いから。簡単に好きになってもらえるはずないって分かってるよー! 気にしないで! ……ほら、そんな話してたら着いた!」
窓の外を見ると、いつの間にか図書館周辺の住宅街に車は入っていた。
「あ……早いですね。車を停めたら、一軒ずつ回りましょう」
話題が逸れてホッとする。
『気にしないで』と言われると気になってしまう。
私って、本当にだめだな。
自分の気持ちもよく分からない。
「ゆりちゃん、とりあえず、あの端の家からスタートしようか」
車を降りて私たちは歩き始めた。
まだ新しい家が多い。
「十四松さん、インターホン押しますね……あれ?」
目的の家に辿り着いて振り向くと、なぜか十四松さんの姿が消えていた。
見回すと、少し離れた場所にある小さな家を熱心に覗き込んでいる。
「十四松さん! 何してるんですか?」
駆け寄ると、「シッ!」と口を押さえられた。