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《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)

第26章 十四松END〜鑑識さんとわたし〜(※)


外に出ると、眩しい日の光にクラクラしてしまう。

先を歩く十四松さんの背中を見ながら、私はのろのろと歩いた。

『ゆりちゃんはやっぱり僕とは考えられない?』

彼の言葉が頭の中に響く。

十四松さんと……。
今までちゃんと考えたことなかった。

いつも笑顔でそばにいてくれて……それがあまりにも当たり前になっていたから。


「ゆりちゃん、聞き込みの場所は図書館周辺なんだよねー? 僕が運転していくよ!」
駐車場に着いたところで十四松さんが振り向いた。

「じゃあ、お願いします」
助手席に乗り込むと、十四松さんも素早く運転席に座る。

「近いからすぐ着きそうだねー。図書館の周りの住宅街は、轢き逃げ事件の捜査対象になっていたから、よく覚えてるよ」

「そうなんですか?」 

「うん。車を調べたけど、ここの区域はトラックを持ってる家自体がないんだよ。まあ、会社勤めの人が多いみたいだから。周りには農場や工場もないみたいだし。交差点周辺の他の地域も調べたけど、見つからなくてね……」

「…………」

十四松さん、来月でいなくなるのに、このまま轢き逃げ犯が捕まらなかったら……。

私の視線に気づいて十四松さんは苦笑した。
「心残りだよねー! 赤塚署で担当した最後の事件なのになー!」

「捕まるといいですね……」

どうせなら十四松さんには気持ちよく旅立って欲しい。

彼の中で赤塚署での日々がいい思い出でありますように。

そして、その思い出の一部分にほんの少しでも私も残れたら……。


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