《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第26章 十四松END〜鑑識さんとわたし〜(※)
ドアが閉まり、エレベーターは動き出した。
「十四松さん、来月のいつ頃、ここを離れるんですか?」
「来月に入ってすぐの予定だよー。今は引継ぎがほとんどになってきてるから、却って時間に余裕があるんだー」
「もう新しい捜査は担当されていないんですか?」
「大きな事件は関わるけど、そうじゃないものは引継ぐ人に担当してもらってるよー。早く慣れてほしいしね」
「…………」
着々とここを離れる準備をしてるのか……。
二人きりの空間。
胸が苦しくなってくる。
しばらく沈黙があった後、十四松さんが階数のパネルを見ながらぽつんと呟いた。
「ねぇ、ゆりちゃん、3ヶ月前のこと覚えてる……?」
「え……?」
3ヶ月前?
公園で関係を持ってしまったあのこと?
顔を上げると、十四松さんが突然私の肩を押した。
あっと思う間もなく、後ろの壁に背中がぶつかり、追い詰められる。
そのまま正面から抱きすくめられた。
「僕、今でもあの時と気持ち変わってないよ……」
「あ、あのっ! 十四松さん……」
「ゆりちゃんはやっぱり僕とは考えられない?」
回された腕に力が入るのが分かった。
十四松さんの右手がすうっと背中を下り、腰で止まる。
そこからゆっくりと手は下降し、臀部を優しく撫でた。
「あ……私……」
言葉がうまく出てこない。