《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第26章 十四松END〜鑑識さんとわたし〜(※)
「今から捜査?」
「はい。図書館の事件で」
「一人で行くのー? 大丈夫?」
洋館の捜査の時に倒れて以来、十四松さんには『一人で捜査に行っちゃだめ!』とよく言われる。
実際は一人で行くことが多いんだけど。
「聞き込みだけなので大丈夫ですよ。十四松さん、そういえば、轢き逃げの犯人って捕まりました?」
「まだなんだよ……トラックを調べたけど結局見つけられなくて」
時間が経ってしまえば、犯人は見つけにくくなる。
事件後に犯行に使った車を修理したり、手放したりする犯人は多い。
「そうなんですね……」
「うん……。あ、エレベーター来たよー!」
私はエレベーターに乗り込んだ。
「じゃあ、失礼します」
「待って! ゆりちゃん!」
閉まろうとしたドアを十四松さんが遮った。
「どうしたんですか?」
「心配だからやっぱり僕も行くよ! 今は時間もあるし!」
「そんな……いいです……」
「来月いなくなったら、もうこうやってゆりちゃんの心配したり助けたりもできなくなるんだよー? いる間ぐらい世話焼かせてよ!」
来月いなくなったら……。
十四松さんの言葉が胸に響く。
本当にいなくなっちゃうんだ……。
私は頷いて『開』ボタンを押した。
十四松さんが嬉しそうに隣に乗り込む。