《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第26章 十四松END〜鑑識さんとわたし〜(※)
「これ、おいしいねー!」
ご機嫌でパスタを食べる十四松さん。
もしかしたら一緒に食事するのも最後かもしれない。
「本当に美味しいですね。……十四松さん、携帯、鳴ってません?」
微かにバイブの音。
「あれ? 本当だ! 署からだ」
十四松さんが電話に出る。
こういう仕事している姿ももう見れなくなるのかぁ。
私はぼんやりと電話している彼を見つめた。
十四松さんが電話を切る。
「ゆりちゃん、ごめん! この近くで轢き逃げがあったみたい。鑑識が必要だから行くよ」
「近くなら私も一緒に行きます。交通整理ぐらい手伝えるので」
「ほんとー? 途中なのにごめんね。今度埋め合わせでちゃんと食事に誘うよ。とにかく出よう!」
私たちはそそくさと店をあとにした。
十四松さんの後を追いながら、ふと考える。
今度埋め合わせで食事に誘うって言ったよね?
本当に?
それとも社交辞令?
どういうつもりなんだろう?
「ゆりちゃん、そこの交差点だから!」
十四松さんの声で我に返る。
人だかりを抜けると、すでに先に着いていた交通課のトト子さんが交通整理をしていた。
被害者は病院に運ばれたのか姿はない。
「十四松くん、鑑識班はもう来てるから、指揮をお願い!」
トト子さんの言葉に十四松さんはすぐに現場へと駆けていく。
生々しいタイヤ痕。
かなりのスピードで突っ込んだのが分かる。
乗用車ではなく、大型の車に違いない。