《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第5章 女王様への黄色い嫉妬(※十四松)
「私って嫌なやつ……」
虫の声を聞きながら、街灯の下のベンチに座り込んだ。
日は沈んでも、蒸し暑さが残っていて、汗がじっとりと滲んでくる。
足に纏わりついてくる蚊を払う。
ふと、トト子さんのスカートからスラリと伸びる足を思い出した。
十四松さんは、トト子さんの足で……。
さっきの光景が浮かび、私は慌てて頭を振った。
「はぁ、帰ろうかな……」
スマホを取り出そうと鞄を開けたが、どこにも見当たらない。
あ、デスクの上に忘れてきたのかも。
私は警察署に戻ろうと立ち上がったが、すぐに思い直し、またベンチに座り込んだ。
今戻ると、トト子さんたちと鉢合わせして、気まずいかもしれない。
でも、明日までスマホがないのはちょっとキツイな……う〜ん。
どうしたものかと溜息をついて顔を上げると、公園の入り口で何かが揺れた。
ん?
目を凝らして眺めてみる。
……なんだ、人か。
よく見えないけど、人影のようなものが動いていた。
あれ? 公園に入ってきた?
夜なのに?
ウォーキング中なのかな?
人影は、ゆっくりと私のいるベンチに向かって歩いてくる。