《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第5章 女王様への黄色い嫉妬(※十四松)
頭の中で警告音が鳴り響く。
かなりマズイ状況な気がする……。
私は後退った。
「あ、あの、すみません。私、別に大丈夫なんで、お二人でどうぞごゆっくり……。失礼します!」
「あ! ゆりちゃん、待って!」
十四松さんの声が背中越しに聞こえたが、私は走り出していた。
十四松さん、トト子さんと付き合っていたんだ……。
走りながら考える。
私が元気なかったから、十四松さんが気を遣って食事に誘ってくれたのは分かっている。
お互いにそれ以上の気持ちはない。
でも、付き合っている人がいるなんて知らなかった。
私は走るのをやめた。
気づけば、外に飛び出して、警察署の目の前にある小さな公園まで来ていた。
「ちょっとショックだったな……」
思わずこぼれる独り言。
いつも明るく励ましてくれる十四松さん。
私は十四松さんを『無条件で優しくしてくれる人』だと思って甘えていたのかもしれない。
でも、十四松さんだって、彼女くらいいるよね。
分かっているのに何でだろう、このモヤモヤした気持ち。
彼女がいると話してくれなかったこともショックだし、何より仲良しのお兄さんを盗られたような気分……って、ああ、やだな、こんなこと考えちゃって。