《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第5章 女王様への黄色い嫉妬(※十四松)
「ゆりちゃん!」
十四松さんが椅子に座ったまま、股間を手で隠して叫んだ。
「ふーん……『先約』ね……」
トト子さんは意味有りげに呟くと、無遠慮に私の頭からつま先までをジロジロと眺め回す。
「あの、お疲れ様です。トト子さん」
居心地の悪さに耐えられなくて、私は頭を下げた。
「あなた、チョロ松さんのチームの新人さんだっけ?」
「はい。橋本です」
「覚えているわよ。交通課にも研修に来てたでしょ?」
「あ! はい!」
「白バイの運転が恐ろしく下手だった子よね?」
「う……そうです……」
やだ、しっかり覚えられている……。
「あの運転で、よくここの署に入れたわねー」
トト子さんが目を丸くしながら言った。
「車の運転は出来るので……」
「最近、駐車場でよく捜査課のパトカーが斜めに停まっているって噂だけど?」
「ううっ! それ、たぶん私です。駐車が苦手で……すみません!」
トト子さんは溜息をつくと、十四松さんを振り返った。
「確かに可愛いけど……でも、トト子の方がもっともっと超絶可愛いのに! 十四松くん、こんな子を優先させるんだ!」
「ち、ちが、トト子ちゃん……!」
十四松さんが下半身を 押さえたまま、よろよろと立ち上がった。