《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第25章 一松END〜庭師とわたし〜(※)
「そこまで驚いた顔しなくても……そんなに意外? 俺って甲斐性ないように見える……? まあ、確かに何の価値もないゴミクズですけど……俺畜生が人間様の女性にプロポーズとか、おこがましいにも程がありますよね……」
傷ついたのか、眉を下げてがっかりしている一松さん。
「違います! そうじゃなくて!」
ここで卑屈にならないで、一松さん。
あなたもれっきとした人間だから!
「だいたい、ゆりにプロポーズするのこれで2回目だし……」
「2回目?」
「覚えてないの……? 警察署の前でマスコミに囲まれて赤塚駅まで逃げただろ? あの時、プロポーズしてる。自転車置き場の前で」
マスコミ? 赤塚駅?
私は記憶を懸命に辿った。
「えっと……確かあの時、一松さんが『俺、う○こしたい』って言ってた記憶が……」
途端に一松さんが「あーもう!」と叫んだ。
「一松さん?」
「言ったよ! 確かに! う○こしたいって! でも、その前にさり気なくプロポーズもしてるんだよ! 何でう○このほうだけ覚えてるんだよ! ちゃんと12章に書いてあるから!」
「は? 12章……?」
急によく分からない言葉が出てきた。
一松さんが慌てたように咳払いをする。
「あ、いや、いいや、今のは忘れて……」
何だったんだろう?
それはともかく、
「一松さん、ごめんなさい。覚えていなくて……」
自分の記憶力が恨めしい。
そんな大事なことを言われていたなんて。
「いいよ、俺もちゃんと言わなかったし。別に何回でも言えば済む話」
「何回でも?」
それには返さず、一松さんは再び私の身体を抱き締めた。
ベッドが軋む。
「ゆり、俺と結婚しよう。クズでゴミな底辺だけど、これからはゆりのために頑張るから……俺の嫁になってよ……」