《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第25章 一松END〜庭師とわたし〜(※)
「なっ……誰だよ!」
男が頭を押さえて起き上がる。
「フーンッ、オレは松野カラ松。静寂を愛する男。この庭師の主人、マスターオブ一松だ!」
「は!? お前がカラ松? 電話の相手か!?」
一松さんがうるさそうに顔をしかめる。
「おい、クソ松! くだらねえ自己紹介してんじゃねぇよ! やっちまおうぜ」
「ああ。ゆりちゃんを犯そうなんて、絶対に許さん」
一松さんとカラ松さんが意地の悪い笑みを浮かべる。
指を鳴らしながら、男に詰め寄った。
「おい! 待て! お前ら、二人で来るなんて卑怯だぞ!」
男が後退る。
「卑怯で結構だ。そんなことはどうでもいい」
男の襟を掴むカラ松さん。
「ヒヒッ、すみませんねぇ。クソな俺たちに卑怯も何もないから。あ、ちなみに警察に行っても無駄だよ。逆にゆりを襲った強姦魔で訴えてやるよ。何よりゆり本人が警察官だから、いくらでも暴力なんて揉み消せるから」
まったく、デタラメもいいところ。
私にそんな力はない。
しかし、男には充分脅しになったようだ。
真っ青になって震え出す。
「レディーを襲うやつは、この世の敵だ。去勢の必要がありそうだな、一松?」
「ああ、珍しくクソ松と同意見」
去勢って、何する気!? まさかここで!? 冗談じゃない。
私は慌てて一松さんを引っ張った。
「ちょっと! 私の部屋で暴力沙汰なんてやめて!」
「あーそっか。近所から苦情くるか……。じゃあ、隣のこいつの部屋にでも行くか。ボコり放題。行くぞ、クソ松」
「ああ」
瞬間、男がカラ松さんの手から抜け、一直線に玄関に向かって走り出した。
「おい! 次、ゆりに手を出したら、マジで許さねぇからな!」
一松さんが男の背中に叫ぶ。
男は一度も振り返らずに逃げていった。