《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第25章 一松END〜庭師とわたし〜(※)
「まあ、とにかくさ、玄関で立ち話も何だから、あんたの部屋に行こうか。上がっていいだろ?」
男が私を引っ張る。
「いやっ!」
手首を掴まれたまま、咄嗟に手のひらを上に向けた。
考えなくても自然と体が動く。
捻りながら手を下げると、私を掴んでいた男の手がすんなり離れた。
さすがに体が小さいとはいえ、もう新人ではない私はある程度のことには対応できる。
「お前……格闘技でもやってんのか?」
男が鋭い瞳で睨んでくる。
「わ、私は警察官です! 乱暴するならその場で逮捕できますからっ!」
警察と言えば引いてくれるかもしれないという淡い希望を持つ。
しかし、この選択は間違いだった。
却って男を怒らせてしまったようだ。
「警察!? 警察官がベランダであんなことしてるのかよ! しかも、脅す気か!?」
「別に脅しているわけじゃ……」
「お宅の警察官がベランダでヤッてて迷惑ですって、警察署に電話してやろうか?」
「っ……」
確かに苦情を入れられても文句は言えない……。
男は両手で私の腰をがっちりと掴み、ひょいと持ち上げた。
肩に抱えられる。
「ちょ! ちょっと! 下ろして!」
「手を掴んだぐらいじゃ、すぐに逃げられるからな……」
遠慮する様子もなく、部屋に上がっていく。