《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第25章 一松END〜庭師とわたし〜(※)
「でも、とりあえず部屋で待ってみます」
『そうだな。俺も一応、ガールの家にちゃんと帰るように一松に言っておこう』
玄関に荷物を入れながら話していると、隣の部屋のドアが開く。
中から出てきた大柄な男性が私に気づき、会釈した。
私もお辞儀を返し、また会話に戻る。
「ありがとうございます。あの、さっき私が言ったこと……すみませんでした。せっかくカラ松さんがフォローしてくれたのに……」
『ああ、一松に好きじゃないって言ったことか? 気持ちは分かる。あいつは卑屈になりすぎると、それが怒りになって暴走するからな。まあ、結局は自分への怒りなんだろうな』
自分への怒り……。
自信がなくて、どうしようもなくて、相手にぶつけてしまう。
それは何となく分かる気もした。
「別に一松さんのことを嫌いではないんです」
『それもちゃんと分かっているよ。問題は一松本人がどう受け取ったか、だが……』
確かに変な受け取り方をされてそう……。
すべての荷物を入れ終わり、部屋に入ろうとした瞬間、ドアを誰かに引っ張られた。
「?」
スマホを耳に当てたまま顔を上げると、さっき挨拶した隣人の男がドアを押さえていた。
「誰と電話? 彼氏じゃないよね? 浮気?」
男は低い声で話しかけてくる。
「は……?」
次の瞬間、男性は私をドアの内側に押し込み、自分も入ってきた。
え!? 何?
男は後ろ手で鍵を閉める。
『もしもし? ゆりちゃん? どうした?』
スマホから漏れるカラ松さんの声。
返事をする間もなく、男が手を伸ばす。
あっという間に奪われ、電源を切られた。