《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第25章 一松END〜庭師とわたし〜(※)
何でこの人はこうも自分を卑下するんだろう。
そんなことグチグチ言うぐらいなら、『ゆり、俺と付き合おう』って、スパッと男らしく言えないわけ?
そのたった一言がなんで出てこないの?
「一松! とりあえず落ち着こう。ゆりちゃんだって困っているじゃないか」
見兼ねたカラ松さんが何とか収めようとするが、これがまた逆効果。
ますます一松さんの顔は怒りで赤くなる。
「クソ松、てめぇ……一度寝たからってゆりのことを分かってるみたいな言い方しやがって……」
「どうしてそういう解釈になるんだ、一松! ゆりちゃんは、一松のことを本当に想っているんだぞ!」
「あぁ? ゆりが俺のことを好きだとでも? そんなわけないだろ? そうやって喜ばせて影で笑う気か?」
「いちまぁつ! 自信を持つんだ! ガールは本当におまえのことが好きだぞ! 俺が保障する! な、ゆりちゃん?」
「はぁあ? こんなクズ、好きじゃないよな? ゆり?」
二人が同時に私を見た。
何、その質問……。
二人とも尋ね方は違うが、たぶん求めている答えは同じだ。
二人の期待に満ちた視線を感じつつ、私はゆっくりと答えた。
「……うん、好きじゃないです……」
「「へ……?」」
カラ松さんと一松さんが固まる。
あまりにも予想外の答えだったようだ。
まあ、分かっていたけど。
「私、卑屈になってばかりの一松さんは好きじゃない」
続けてきっぱりと答えると、二人はポカンと口を開けた。