《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第25章 一松END〜庭師とわたし〜(※)
「まあ、もう1回一松に話してみよう。なかなか俺の話は聞いてくれないが……」
カラ松さんは伝票を掴んで立ち上がった。
「お願いします」
私もバッグを持って立つ。
会計を済ませ(カラ松さんが払ってくれた)、外に出ると、まだ日は高く暑かった。
「さてと、この後、ゆりちゃんはどうするんだ?」
「特に予定はないですけど」
「なら、洋館に遊びに来ないか? 最近、庭に新しい品種の薔薇をいくつか植えたんだ。他では滅多に見られない希少種ばかりだ。きれいに咲いてるから見に来るといい」
「わあ、素敵ですね! カラ松さんが今はお世話してるんですか?」
「ああ、素人知識でやってるがな。それこそ一松が世話してくれるとありがたいんだが……。向こうに車を停めてある。行こうか」
「はい」
カラ松さんがスッと私の腰に手を回す。
一瞬戸惑うものの、たぶん彼は女性のエスコートには慣れっこに違いない。
深い意味はないんだろうと思い、そのまま歩き出した。
「そこの角を曲がったところの駐車場に停めてある」
カラ松さんの言葉に頷き、角を曲がった瞬間、私は驚いて立ち止まった。
カラ松さんも足を止める。
紫のパーカーにジャージをゆるく履いた男。
一松さんがどんよりとした顔で立っていた。