《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第25章 一松END〜庭師とわたし〜(※)
「一松さん、工場が止まっている間だけでも、カラ松さんのところでお世話になったらどうですか?」
「はぁっ!? なんで俺がクソ松のところで!? 絶対に嫌なんですけど」
私はため息をついた。
何度この会話をしただろう。
「分かりました……じゃあ、私は行きますね……」
「おい、ゆり! ちょっと待っ」
最後まで聞かずに部屋を出た。
ブラック工場殺人事件から2年。
イヤミさんの逮捕で何度も工場に行っているうちに、一松さんとは自然とこういう関係になった。
と言っても、付き合っているわけでもない。
頼まれてこっそり空いた部屋で性行為をするだけ。
最後まですることもあるけれど、彼は疲れ切っているので、ほとんどは口や手で済ませる。
結局、私たちが恋人なのかどうなのか確認したこともない。
聞けばいいのかもしれないけど、それで『違うよ』と言われるのが怖かったりする。
初めてブラック工場を訪れた日、工場の門の前でミーコを撫でていた彼。
私はあの時から一松さんに惹かれていた。
でも、自分でも彼とどうなりたいのかよく分からない。
最近は、このまま曖昧な関係も悪くないのかも……と思うこともあるから、慣れとは恐ろしい。